「ツリメラ」 〜みんなが見たがる新しいものを〜

E
ワカヌ:「ツリメラ」は今後も奴隷を増やしていくんですか?
小林:目的としてはセレブ感をだしたかったんです。マドンナとかのライブを見ると、半裸の男性とか、いっぱいいるじゃないですか。
彼らがいることによって「女王」が君臨できる。
劇作家女子会:あー。
小林:女王自身でなんとかするんじゃなくて、周りの環境を固めることによって「女王」にすることがそもそもの狙いですね。
ワカヌ:「女王」を出現させたかったんですか?
小林:うん。セレブを出現させたかった。音楽的にというか、マドンナとかレディ・ガガみたいなくくりの日本人アーティストって、今いないじゃないですか。
坂本:はいはいはい。
オノマ:確かに。
小林:例えば、安室奈美恵が一曲だけそういうのをとりいれて・・・・・ということはあるけれども、ガチでセレブ系の人はいないですよね。なのでそこは一つ、ニッチな穴かな、という思いはあって。
ワカヌ:小林タクシーさんの個人的な思いというよりは、今の音楽シーンを冷静に見て、ここ突っ込んでいける穴なんじゃないかというところから「ツリメラ」は発生した感じなんですか?
小林:なんだろう?自分でもちゃんと思い出せないんですけれど・・・・ただ彼女たちのビジュアルにインスパイアされている部分は大きいんじゃないですか?「ツリメラ」のメンバーについて、生身では知ってます?
黒川:私、生身では知らないです。
ワカヌ:葛木英さんを舞台で拝見したことはあるんですけれど、そのときは全然女王様キャラじゃなくて。魅力的だったんですけれど。「ツリメラ」の方とはわからなかったです。
タクシーさんは、皆さんを見て、女王として君臨している絵が浮かんだりされたんですか?
小林:いえ、彼女はわりと女王として君臨してるんですよ。主宰していた劇団のコンセプトが「王国」になっていて、自分はそこの主宰というか、女王なんだと。
ワカヌ:ほう。
小林:あだ名が「女王」なんです。
オノマ:あ、そうなんですか。
小林:皆さんもそれぞれ自分の団体では女王的なんじゃないですか?
オノマ:いや・・・・強いて言えば私だけが奴隷商人と呼ばれてます。私は女王的な君臨はしたくない人間なんですけどね。
坂本/黒川/ワカヌ:wwwwwww
オノマ:笑われてるけど。
小林:奴隷をいっぱいかってるんだ。
黒川:奴隷をいっぱいかってるんですよ。
小林:女王じゃないですか。
オノマ:いえいえ。皆さんのご好意でやってもらっているんです。
ワカヌ:と言うスタンスをとりつつ、「いつもありがとう。ところで明日までにこれとこれやってきて。」って感じだよね。リコさん。
小林:女王じゃん。
オノマ:友だちです。
小林:いや、女王というと、なんとなくイメージ悪い感じがするじゃないですか。高飛車とかワガママとか。でもかたやテンションがあがる存在でもあるでしょう?モスクワさんならきっとわかってくれると思う。
ワカヌ:女王。憧れますね。
小林:憧れるでしょう?マリー・アントワネットとか大好きでしょう?
ワカヌ:ええ。あれくらいの理不尽を他人に強いて生きていきたいです。
坂本: お  い   。
小林:だからそういう、開放感があるじゃないですか。憧れるじゃない。カッコイイ!というか。そういう人たちが3人集まって・・・・・そこで3人集める意味っていうのはよくわかんないんですけれど(笑)。なんか「圧」がでるかなという。
オノマ:でてます。でてます。

F ワカヌ:同じように小劇場界発信のアイドルユニットに「38mmなぐりーず」(※5)がいるじゃないですか。
小林:はいはい。
ワカヌ:「38mmなぐりーず」は、方向性としては「AKB」のような、距離が近くて手作り感溢れるアイドルだと私は思っているんですけれど、「ツリメラ」は全く違うアプローチですよね。
小林:年齢的にもアイドルじゃないですし(笑)そうですね。彼女たちはアイドルじゃないんですよ。
オノマ:あ、すみません。アイドルって言っちゃってました。
小林:いや。最近よく言われるんですよ。なので言われたらここぞとばかり「いえ違います。偶像崇拝ユニットです。」と訂正してます。
坂本:偶像崇拝なんですか。
小林:「え、宗教なの?!」って言われますから。まあ、なかば宗教ですけれど(笑)
オノマ:この間のライブを見てきたんですが、本当に完成度高いし、大人がきちんとやっていますという格好良さがあって・・・・・・すごい楽しかったです。
坂本:感想になっちゃったYO!
小林:この間のライブ(※6)では、除夜の鐘をステージ上にバルーンアートでつくったんです。そのバルーンアートに「ツリメラ」がサーベル(剣)をつきたてて、108の煩悩を退散させるという演出をしたんです。
こう、ズズバーンン!!と。
オノマ:煩悩を一つ一つ言いながらでしたよね。
小林:あいうえお順に、50音順でね。「あ!・・・・愛されメイクで男に媚を売りまくったこと・・・・ズバッーーーーーン!!
坂本:煩悩!
ワカヌ:煩悩。
黒川:煩悩・・・・・。
小林:「いい加減な知識で、相手に尊敬されようとしたこと。」とか。最終的にはこう、鐘がめちゃくちゃになってね(笑)引きちぎられて。で、「わ」までやると全部で44個なんですよ。50音とかいいつつ(笑)
坂本:あと半分くらいどうするんですか?
小林:なので後はツリメラ様が「お前らが胸に手をあてて考えろ・・・・。」と。
劇作家女子会:おお〜〜〜〜〜。
小林:大反省会ですよ。オープニングで「ここに来たことを後悔させてやる」と。
ワカヌ:いいなあ、カッコイイなあ。
オノマ:ただアイドル好きとしては、客席はもうちょっと、あったまれよと思いました。まずステージに登場したら「オーッ!」と歓声あげろよとか。それに曲のノリもいいから、これ本当にただのオタク発言なんですけれど、曲中で「おい!おい!」って合いの手をいれてほしかったですね。
小林:コールをね。
☆女子会!マメ知識☆ 説明しよう。オノマリコはアイドルオタク。ちなみにAKBよりハロプロ派で、一押しグループはBerryz工房。 一緒にカラオケに行くと、曲の履歴がすごい甘酸っぱいことになるよ!
オノマ:ここらへんで「KIRAKIRA!」って叫べるなーとか思いながら見てました。
小林:それ、今度やってくださいよ。
オノマ:じゃあ次回のライブで頑張ります。
ワカヌ:私たち「劇作家女子会!」は「ツリメラ」のお三方みたいに歌ったり踊ったりできないし、持ち味も違うんですけれど、方向性としてはあんな感じの・・・「エンタメ」になりたいんだよね?
小林:エンタメになりたい。
坂本:「エンタメになりたい」ってなんだ?
オノマ:うん。私もね、今それなんだろうって考えてる。
ワカヌ:なんか「劇作家女子会!」というグループ自体が、エンタメみたいな。
坂本:うーん。それも一つあるね。でも、エンタメってなんだ?
オノマ:あいつら楽しそうなことやってるぞとは思われたいね。こんなイメージであってるかな?
坂本:何故いきなりここでのすり合わせが始まったんだ。
小林:なんかでも派手でキャッチーなイメージをもたれたいってことだよね。なにかしら、作家であるということ以外の。
坂本:そうですね。
オノマ:翻訳ありがとうございます。
小林:作家であるということは、ものを作る人であるということだから・・・・毎回変えたらいいんじゃないの?
オノマ:作品をですか?
小林:いや、例えば自分達のビジュアルイメージであるとか・・・。自分達に持たれるイメージを、こうしたいというテーマを毎回変えるとか。それが毎回極端に違ったら面白いですけれど。今回はマリー・アントワネット、次回は源氏物語とか。
ワカヌ:あ!みんなでウェディングドレス着ようよ!
坂本:残念な感じでいいねぇ。
劇作家女子会!:(爆笑)

G 小林:なんか、やりたいことを一つに決めるのも戦略ですけれど、そうするとそれしかやってないように思われるデメリットがあるので。色んな作品を書きたいんだったら、色んなことを毎回変えて言ったらどうかという。
坂本:それはでもすごく面白いね。
黒川:コスプレという形から入って、作品も変えていく。
小林:それをただのコスプレと思われないような、演劇的な工夫があったらいいなと思いますね。例えばフライヤーとして1枚写真をとったりするときにも、
ちゃんとそこにストーリーがあるとか。そういうのがないと、単なるコスプレ集団になっちゃう可能性がある。
黒川:確かに・・・・ストーリー。
小林:「ツリメラ」はよく「SMですよね」と言われるんですが。
オノマ:ちょっと違いますよね?
小林:まあ、否定はしないですけれど(笑)広い意味でのSMですよ。この間、ライブの記事をネットで書いてもらったんですけれど、「演劇と、音楽と、SMが融合した、新しいエンターティメント」と書かれていて。SMと言い切っちゃっていいのかなーと・・・・・。
坂本:キャッチーですけどね。融合って書かれちゃいましたか。
黒川:男性が縛られて吊られている写真(※7)が印象的ですよね。
小林:まあ、そう思われたい気持ちも少しはある。でも、完全にそうなんだと思われると違うんですよね。むしろ、演劇のお客さんにはSMだと思わせたくて、でもSMのお客さんには演劇だと思わせたいというところがあります。
ワカヌ:すごく微妙な線を狙ってるんですね。
小林:みんな新しいものが見たいわけじゃないですか。決まりきったものだとつまらない。
坂本:うん。
小林:なんというか・・・・音楽をやっている人たちって、MCがとても苦手なんですよ。MCに、ちゃんとセリフがあって、練習できて、ストーリーがあり演劇的にできたとしたら、それはとても魅力的に映ると思うんですよ。
それは一つの攻め方だなあと思っていて、「ツリメラ」にはそういうことをやってもらいたいという気持ちがある。
オノマ:MC、面白かったです。
坂本:そりゃあ。
オノマ:どこまでつくり込めているんですか?
小林:いや。MC、つくり込めてないですよ。僕はちょっと反省してます。もうちょっとできるなーと。・・・・たぶん、演劇を見慣れている人に演劇を見せても「ああ、演劇だね。」と言われて終わりになっちゃうので、演劇を見慣れていない人に、音楽の文法で演劇を見せたら、すごい驚いてくれると思う。
坂本:うあぁ。すごい、いい話ですね。今の。
黒川:確かに。
小林:で、そういうことを考えてきたんですが、ずっとやり方がわからなかったので・・・・。今、そういう線の引き方は面白いなと感じています。
オノマ:確かに。ライブで、MCの間中ずっと恥ずかしそうな人いますもんね。
小林:「どうしよう?」みたいになるでしょー?こっちが(笑)
オノマ:曲を始める前の調整としてMCをしなきゃいけないからやるけれど、だけど俺恥ずかしいです、みたいな。
小林:そんなの見せられても困るわけじゃない(笑)だって、我々の主戦場はさ、言葉をしゃべる・・・・「言葉」でしょう。
オノマ:そうですね。
小林:それは「ツリメラ」でも生かせるなと思って。

→そのDへ続く