要するになんかパッとした感じでやりたい
C 小林:・・・・要するになんか・・・・・・パッとした感じでやりたいっていうことですよね。
坂本:そうです!
オノマ:翻訳ありがとうございます。
黒川:「オシャレに楽しくふざけたい」というのが、そもそもの女子会!のコンセプトで。
小林:お洒落ね。
オノマ:そう。お洒落にやりたいんです。
ワカヌ:私達、じゃっかん地方都市っぽい感じがするというか。
オノマ:地方都市バカにすんなよ(おこ)
小林:まあま、モスクワさん・・・モスクワだし。見てはないんですけれど、9月にミュージカルをされてたとか。
ワカヌ:あ、はい。『Mademoiselle Guillotine〜マドモアゼル・ギロティーヌ〜』というタイトルで、フランス革命のミュージカルを書いて上演しました。
小林:キャッチーだよね。フランス革命とか。僕自身、大学の時に西洋史を専攻していたんで、素養として好きなんですよ。ギロチンとか「ツリメラ」でも使いたいですね。
オノマ:ああ、似合いますね。
小林:舞台ではギロチンは出たんですか?
ワカヌ:いえ。私が書いた舞台はギロチン擬人化ミュージカルだったので・・・。ギロチン台を女性が演じたんです。革命期の死刑執行は民衆の娯楽でもあったので、処刑のシーンも皆で歌い踊るとか、エンターティメントとして見せたくて。
小林:擬人化ということは、武器を持ったりとか?
ワカヌ:いえ。そこはベタにキスで殺すことにしました。
小林:ベタにっていう、その・・・・ベタがわかんない(笑)
ワカヌ:死の口づけって、よくあるじゃないですか。・・・・あれ?ベタじゃないですか?
小林:いや、死の口づけっていうからベタになるんだよ。
オノマ:ギロチン台がキスして人を殺してるっていうのは・・・・。
坂本:ベタじゃないね(笑)
ワカヌ:愛情の行為と死ぬってことが、私のなかで分ちがたく結びついてるんで。だって人を好きになったら死ななきゃいけないじゃないですか。
坂本:(タクシーさんに)ちょっとごめんなさい。
オノマ:すみません。ぶっ飛びました。
小林:人を好きになったら死ななきゃならない?
オノマ:あのーモスクワさんは、人を好きになったらどっちかが死ななきゃいけないと考えている人なので、出てくるものとかテーマはわりとキャッチーなんですけれど、その奥にあるモスクワさんが考えていることというのは結構・・・・。
小林:深遠なのかな?
オノマ:いや。反社会的。
ワカヌ:ちょっとぉ。深遠ってことにしといて、そこ。
小林:それはそのほうが盛り上がるからとか?
ワカヌ:うーん。なんていうか・・・・恋するって、それだけですごく盛り上がってなきゃできないじゃないですか。そんな状態で二人はいつまでも幸せに暮らしましたなんてありえないと思うんですよ。
小林:ドラマとしてね。
ワカヌ:うーん・・・・・。なんか嫌なんですよ。人を好きになっているのに両方生き残るとか。愛が足りないと思うんですよ。
坂本:いーやーー。
オノマ:それは現実でも嫌なんでしょう?
ワカヌ:うん。やだ。
小林:えっ?・・・・・あー、あれかな。私のものにならなければ殺します的な。
坂本:かなり近い。
黒川:なんかモスクワさんいわく、生身の人間を好きでいる限り安心できないから殺すしかないんだとか。
小林:冷凍保存するってこと?
ワカヌ:そうですね。やっぱり生きてる人ってリスキーじゃないですか。
小林:リスキーですよお。本当にリスキーです。
ワカヌ:心変わりするかもしれない。事故や病気で死ぬかもしれない。そういうことを考えると安心できない。
坂本:安心できないのが恋なんだよお! 小林:安心できないのが楽しいんだもんねえ。 坂本:そうです!
ワカヌ:私はそれを楽しむというよりは、そういった可能性を全排除して、完璧な世界をつくりたい。
オノマ:冷凍保存・・・・・。
坂本:ひぃぃいぃい・・・・・。
小林:でも手に入りにくいから盛り上がるっていうのもあるじゃないですか。
坂本:そうそうそうそう!そうですよ!
ワカヌ:そうなのかしら?
小林:そうなのかしらって感じですか・・・・・。
ワカヌ:そうですね・・・。
坂本:・・・・・スコーン、あったかいうちに食べたら?

みんなの作風

D 小林:ちょっと僕、ここ(モスクワカヌの恋愛論)から、今後の劇作家女子会!の行く道を探りますからね。
坂本:ちょっと待って。
ワカヌ:いいんですか?
黒川:大変なことになりそうなんですが。
小林:いや。個人から拾っていかないと。
黒川:あ、でもワカヌちゃんは「クールビューティー」になりたいらしくて。
小林:いやあ、クールビューティーですよお。
ワカヌ:ほらあ!(ドヤ顔)
小林:だって冷凍保存をしたい人だから(笑)。オノマさん以外の方とは今日が初めてなんですけれど、(坂本、黒川に)どういうものを書くんですか?
黒川:坂本鈴さんは「エロPOP」な作風です。
小林:おお、じゃあ同業じゃないですか。
坂本:あら。
黒川:私は・・・・最近思ってきたんですが、「人間になりたいのになりきれない」ところが、全部の作品に共通してるなと思って。なんかこう・・・・生まれた時から、自分の内面を人に見せると排除されるみたいな気持ちがあって。
小林:うん。
黒川:それはその、私が人間じゃないってことがばれるから、なんですけれど。
坂本:これちょっと、小林さんわかるかな?
黒川:わかんないかな?あの、えっと。
小林:それは自分の体験としてね?
黒川:はい。そうです。で、普通に日常を信用して生きていると、どこかにすっごい落とし穴があって「お前自分を人間だと思っただろ。」という感じでそこに落とされる。
小林:うん。
黒川:日常とか、普通の一般的な潮流とかを信じることって、結局人間性を破壊するんじゃないかという方向でテーマが広がっていって・・・・人間になりたいけどなれないし、人間てなんなんだろう?というところから始まる作品かなと。
小林:世の中に対するアンチテーゼのようなものを・・・・。
黒川:はいはい。
小林:示したいと。
オノマ:普通にのうのうと生きている人に対する、ちょっと斜めな目線があるよね。陽子さんは。
小林:常識を疑えという。
黒川:そうです、そうです。
オノマ:(黒川の作風は)だいたい物語の終わりの方で、なにが本当かわからなくなる。主体性があるようで、途中からみんな(主体性が)なくなっていく・・・・。
黒川:そうかも。
ワカヌ:あ。
坂本:ん?
ワカヌ:今なんか言おうとして・・・・・・
オノマ:うん。
ワカヌ:オムライス噛んだら忘れちゃったよ。


→そのへ続く