全員の姿が消え、ユノはチャンミンをきつく抱きしめた。 「チャンミナ…」 「ヒョン…  どうしたんだよ… 何でここにいるんだよ…」 「……」 「遠くの方でユノヒョンの声が聞こえてて… 何か 怒鳴ってた?何かあった?」 「……」 抱きしめたまま何も言わないユノにチャンミンは 「どうしたんだよ…ヒョン…」とユノの胸から離れ顔を見ると ユノは目を真っ赤にして、必死で涙を堪えている。 「ヒョン!!どうしたんだよ!何泣いてるんだよ…」 チャンミンはユノの頬に手を当てて、瞼にキスをした。 「…いいんだ… おまえが無事なら…  それで  もういい…」 ユノはそう言うと、またチャンミンを強く抱きしめた。 「大丈夫だよーちょっと飲み過ぎただけだよー。平気だよ、変なヒョンだな… 何で来たの??誰かに呼ばれた?」 「…  あんまり 心配させるなよ…  」 チャンミンの首元に顔をうずめ、ユノは小さな声で言い、抱きしめる腕の力を強めた。 「……  ヒョン …  心配してくれたんだ …」 「当り前だろ…   頭の中 おまえでいっぱいだよ…」 せつなげに小さく言うユノに、チャンミンはキュンとなり 「…僕もだよ…  ヒョン… 僕もずっとヒョンの事思い出しながら、みんなと飲んでた ヒョンが世界が広がるから行った方が良いって、そう言ったから頑張って来たけど… 全然楽しくなくて…  ユノヒョンの顔ばかり思い浮かぶんだ… 飲め!飲め!って言われて、半ばやけくそで飲んでたらこんなになっちゃって… そこから記憶がないんだ。 やっぱりヒョンのそばがいいよ… こうしてる方が幸せだよ」 「…  そうか…  チャンミナ…  悪かったな…俺が余計な事言ったばっかりに… 酷い目にあったな…」 「酷い目??大丈夫だよ…酔っただけだから」 「…チャンミナ…  あさのに何もされなかった??」 「え?あさのさん??さっきもそんな事言ってたね…なんかみんなも謝ってたし… よくわかんないなー、ヒョン…ちょっと待って、水飲んで酔いさますから」 チャンミンはフラフラとユノから離れて水を取りにいこうとするが、ユノがそれを許さず 腕を掴み、引き戻して後ろから抱きしめた。 「チャンミナ…  俺  ダメだよ…  あいつがお前の事  抱いたって言って …  それに  おまえも 悦んでた  なんて言われて…」 「え!? あさのさんが?? ない!ない!ない!それはないよ!!ヒョン! 僕ずっと酔っ払って、寝てたんだから」 チャンミンは振り向いて、ユノの両腕を掴み、大きな声で否定した。 「でも、それを聞いた時…   俺あいつの事 殴りそうになって… 悲しくて…  腹が立って…  辛くて… 頭おかしくなりそうだった…」 そう言うと、ユノの瞳にまた涙が滲んだ。 「…  ユノヒョン …  」 チャンミンはユノを抱きしめ、髪を撫でた。 「  ヒョン  座ろうよ…」 フラフラとしながら、ユノの肩を抱き、ソファに腰をかけた。  ユノは前を向いて座り、頭を抱え込んだ。 「俺…ダメだよ…  おまえの事になると見境なくなって… カズさんの事もそうだっただろ…」  チャンミンは隣に座り、ユノの方を向き、ユノの足の上に手を置いた。 「 …  ユノヒョン  …  好きだよ  …  大好きだよ …」 じっとユノの横顔を見つめる。 ユノはゆっくりと顔を上げ、チャンミンの方を見た。 今にも零れ落ちそうな涙を、必死で堪えるユノの頬に手を当てて、 チャンミンはゆっくりと顔を近づけ 「愛してるよ…  ヒョン…」言葉と共に唇を重ねた。 ユノの頬に一筋の涙が流れ、 「チャンミナ…  苦しいよ…  苦しいくらい 愛してる…」 チャンミンがユノの涙を唇ですくい取り 「 ユノヒョン…  僕もだよ…」 二人はゆっくりと愛おしげに唇を合わせた。  黄金のメンバーは場所をうつし、また飲みなおしていた。 みなが中々口を開かず、重い空気が流れている。 お調子者の桐谷が沈黙に耐えきれずに 「せやから、やめとこ!言うたのに… 浅野さん… これ国際問題にまで発展したら どないします!?」 「おい、おい桐谷!!」と妻夫木がこんな時に冗談言うなよという感じで言った。 「あいつ…  必死だったな…  」ようやく、張本人の浅野が口を開く。 「正直あんなに必死で来るとは思いませんでしたね」溝端もシュンとして答える。 「靴、ちぐはぐでしたよ… しかもリッツカールトンにジャージで来るって… アイドルなんですよ… 韓国の宝って言われてるんですよ。 郷ひろみがステテコでウロウロしてるようなもんですよ」溝端のノリに 「なんでやねん!!」桐谷が突っ込む。 「桐谷!!」妻夫木が怒る。  周りの雑音は無視して、浅野はホテルでのユノの様子を思い出しながら 「最後のあいつの言葉にここらへんが締め付けられるようだったな…」 自分の胸の辺りをギュッと掴んだ。 「チャンミンもずっと爆睡してたのに、ユンホさんの怒鳴り声が聞こえてきて 急に起き上がったんですよ。 ユノヒョン って言って…  愛称ですかね…」 妻夫木がしんみりと言う。 「皆さんはご存じないと思いますけど、あのお二人結構苦労されてるんですよ。 最初5人だったのに、途中で色々あって、二人になって…バッシングとかも酷くて そういう事を乗り越えての、今の人気なんです。だから二人にしかわからない色んな 事沢山あるんじゃないですかねー」溝端が少し自慢げにみんなを見て言った。 「悪い事しちまったなぁー。もっと軽い冗談で終わるはずだったのにな… あんなに辛い思いさす予定じゃなかったのに。 桐谷!!おまえの作戦が悪いんだよ!!どうすんだよ!まったく。」 「よーいうわ!!浅野さん、それはあんまりやわ。浅野さんが強引に俺が演技して 騙してやる!とか言わはったんですやんか。ほとんどアドリブですよ。 俺が考えたとこなんかほとんど無視やんか」桐谷が必死で反論し、 妻夫木が”まぁまぁ”とそれをなだめた。 「あいつらのためにひと肌脱いでやりたいけど… どうすりゃいいかね〜〜 簡単な問題ではないわな。これは…」 皆で一様に頭をひねった。