穏やかな日常が戻り、二人は落ち着いた日々を過ごしていた。 ようやく二人の新しい活動再開へのめどもたち、本人たちの不安、上層部の二人への不安 もあったが、それらの不安を払拭しようと、二人は必死で頑張った。  そして、二人でのSMTへの出演が決まった日。 「チャミナ、ようやくだな。みんながどんな反応なのか不安だけど、頑張ろうな」 「うん、そうだね、ヒョン頑張ろう」  そんな会話を交わしながら、イチャイチャとベッドで戯れる二人。 「なぁチャミナ  おまえ…たまには女の子抱きたくなったりしない?」 ユノはチャンミンを後ろから抱きしめながら、耳元で聞いた。 「はぁ?何それ?ヒョン…それどういう意味?ヒョンは抱きたくなるんだ?」後ろから回 されたユノの逞しい腕をギュッと掴み、怒ったように答えるチャンミン 「いや、違うよ。俺はチャミナで満足してるよ。でも、なんていうか…その…おまえは立 場かわっちゃって、あの…それで満足出来てるのかな…って ちょっと気になって」   言いにくそうにつぶやくユノ。  チャンミンはユノの唇が触れる耳まで真っ赤になった。 ヒョン、そんな質問になんて答えたらいいんだよ…自分がこんな悦び教えておいて… はい満足です。女の子の体思い出したこともありません、って言えっていうのかよ、ヒョ ンはたまに無神経な事言いだすんだから。  そんな事を想いながら、答えの変わりに振り向きユノの唇を求めた。  ユノはチャンミンが答えずに唇を求めてきたことで、…これは満足してるという意味な のか?それともごめんなさい。という意味なのか? となぜか、捻くれた考え方をした。 チャミナ、グラマーな子好きだったしな…狂おしいなきごえをあげるチャンミンを抱きな がらもそんな風に思った。  SMTのライブと言う事で、他のグループメンバーとの練習も増えてきた、そんなある 日、レッスン室で少女時代のソヒョンとチャンミンがデュエット曲の練習をしていた。  チャンミンはソヒョンこんなに大きくなったんだなぁ〜、初めて合った時はまだこんな に小さかったのに…チャンミンは頭の中で自分の胸当たりしかなかった小さい頃のソヒョ ンを思い出した。 「チャンミンオッパ(お兄さん)ここはどんな感じでしたか?」  楽譜を持ってソヒョンが寄ってくる。  フワリと漂う髪の香り…久しぶりだな…こんな甘い香り…ヒョンはいつも汗くさくて… プッ  自分で思い出しながら恥ずかしくなり、噴き出した。 「どうしたんですか?オッパ?私何か変な事言いましたか?」不思議そうにソヒョンは尋 ねた。 「あ、ごめんごめん。ソヒョンじゃないよ。ちょっと関係ない事思い出しちゃって…どこ だっけ?」ソヒョンの指さす楽譜を覗き込み 「あーそこは  ♪」 と歌ってみせる。 「あ、そうか、そうでしたね。私いつもそこ間違えちゃうんです。オッパありがとうござ います」ソヒョンは丁寧にお辞儀をして、離れて行った。  相変わらずソヒョンはまじめだな。あの子みたいに控えめでまじめな子がヒョンにはお 似合いだな…  ヒョンは理想の女性のタイプは?って聞かれると、いつも自分が気が強いからそんな自 分を引っ張ってくれるような人。何て言ってるけど、そんな子じゃ、きっと毎日喧嘩ばっ かりしなきゃなんないよ。だいたい片付けられないし、忘れ物ばっかりするし、すぐに命 令するし、偉そうだし…世話やけるんだから…ヒョンは…  今日はヒョン…どこだったかな…スタジオCだったかな…後で覗いてみよう…  その頃ユノはスタジオCでスーパージュニアのソンミンとシャイニーのテミンの3人で コラボダンスの練習をしていた。  ひとしきり汗を流し 「ちょっと休憩しようか」とユノが汗を拭いていると、テミンが飲み物を持って、飛んで くる。 「ユノヒョン、これどうぞ」ペットボトルを差し出す。 「ありがとう、テミン」  すかさず横からソンミンが 「何だよ!テミン俺にはないのかよ!相変わらずおまえユノばっかだな」口を尖らせ怒っ た。 「あ、すみません。ソンミンヒョンにも今持ってきます」慌てて、ペットボトルを取に行 き、ソンミンに渡す。 が、すぐにユノの方を向き 「久しぶりにユノヒョンと一緒に仕事できて、すごく嬉しいです」とテミンは目をキラキ ラさせて言った。 「そうだな、テミン、久しぶりだな。ダンスも一段とパワーアップしたんじゃないか?」 「ほんとですか?ユノヒョンにそう言ってもらえると嬉しいなぁ〜」テミンは子犬のよう に、ユノにまとわりついた。 「あのさー、テミン… 俺ここにいるの知ってる?」呆れたようにソンミンが言うと 「ソンミンヒョン…  すみません…  何か?」 「……   何でもねーよ!!!」ソンミンはやれやれというジェスチャーで 「ユノ早く練習しようぜ!」とユノを引っ張っていった。 「そ、そうだな… テミン 練習再開だ」 「はい!!ユノヒョン」テミンは尻尾を振って、ユノについて行った。 「ソヒョン… ちょっと休憩しようか、トイレ行ってくるよ」 「はい、チャンミンオッパわかりました」  練習室を出て、スタジオCに向かうチャンミン。 「ユノヒョン今日は何の練習だったかな…スタジオCだからダンスだな…」とスタジオC ドアの小窓から中を覗く。 「あ、ヒョンもちょうど休憩だ」とドアを開けようとした瞬間 「ユノヒョン、これどうぞ!」嬉しそうにユノに近づくテミンが見えた。 ドアにかけた手がとまり、陰から覗くチャンミン、楽しそうに話す二人と拗ねたようにポ ツンと立つソンミンを見て 「あいつ、相変わらずユノヒョンが好きなんだな…あーあ、ほらソンミンヒョンが怒った よ…」なんとなく入りにく雰囲気になり、チャンミンはドアノブを離し、元来た部屋へと 帰って行った。  チャンミンは練習室に戻り、ソヒョンに声をかけた。 「遅くなってごめん。始めようか…」  練習を始め、しばらく歌ってチャンミンが 「なぁソヒョン、これラブソングだよな。なんかそんな感じの振り入れる?」 「え?…  チャンミンオッパにお任せします」 …うわ かわい。 お任せします  だって。ここ何年聞いた事ない台詞だな。 「じゃぁさ、ここで…」と楽譜を持って近づき 「この合間にこうするのはどう?」とチャンミンはソヒョンの手を取って、キスするまね をした。  ソヒョンは真っ赤になって、うつむき 「… はい、チャンミンオッパ…  頑張ります」 「ハハハ…ソヒョン頑張ります。ってソヒョンは何もしなくていいんだよ」 「… でも、チャンミンオッパのファンからきっといっぱい怒られます」 「…  そうか… じゃぁまねだけね」   「…  はい  わかりました」  フフ 可愛いなぁ ソヒョン。  チャンミンとソヒョンが練習を終え、帰る用意をしている所へドンドンと練習室のドア を大きく叩く音が響き、ユノが入ってきた。 「チャンミナ… 終わった? やぁソヒョン」と明るくユノはソヒョンに挨拶した。ソヒ ョンもお礼をして、ユノに挨拶をする。 「チャンミナ、今から3人で飯食いに行くんだけど、一緒に行くだろ?」チャンミンはユ ノが入ってきた事で一瞬表情が輝いたが、ユノの後ろでニコニコと嬉しそうに笑っている テミンを見つけ、少しイラッとして、 「どうしようかなー。ソヒョンも一緒に行かない?」とソヒョンを振り返り、声をかけた  ソヒョンはびっくりして 「え?そんな…いいです!いいです!オッパたちだけで行ってください」必死で手を振り 断る。  後ろの方から、ソンミンがソヒョンも一緒に行こうよ〜と軽い調子で誘う。 「ソヒョンも行こうよ。昔はよくハンバーガーやドーナツ一緒に食べに行ったじゃないか  チャンミンはそう言ったユノの方を見ると、ユノの後ろでテミンがユノに何かをしてい るのが見えた。  ユノが腰をくねって振り向き、テミンの手をとり 「やめろよ〜テミンー」 楽しそうなユノの声を聞き、カッと頭に血がのぼるチャンミン  表情には出さずに、ソヒョンに近づく。 ソヒョンの手を取り 「一緒に行こうよ!」と引っ張った。 「え!?」 誘いに来たユノ、ソンミン、テミン、そして手を取られたソヒョン、皆がそ れぞれ固まり、練習室に張り詰めた空気が流れた。  SMメンバー行きつけの落ち着いた店で5人は食事をしていた。  ソンミン、ユノ、テミン、向かい側に、チャンミン、ソヒョンが座っている。 「それで…シンドンがさぁ…」とソンミンが場を盛り上げようと、必死でスーパージュニ アメンバーの面白話をした。  テミンはユノにピッタリ引っ付いて座り、やたらと腕や足に触れていたが、ユノは何も 気にせず、楽しそうにソンミンの話を聞いて、笑っていた。  そんな二人の姿が視界に入るのが嫌で、チャンミンは段々とソヒョンの方を向いて、ソ ヒョンを見つめるように座りなおした。  始めのうちは笑っていたユノが段々無表情になり、無口になっていった。  ソンミンはソヒョンの方を見て、話しかけソヒョンはそれに答え相槌をうち、それを横 でじっと見つめるチャンミン、その二人を正面から睨むように見るユノ、その横で気にせ ずユノに引っ付き、ソンミンの話に笑うテミン… 「フーーーーーッ」ソンミンが大きく息を吐き 「ソヒョンの帰りがあんまり遅くなってもいけないから、解散しよっか」 この雰囲気はもう限界だ!とでもいうように言った。 「そうだな!そうしよう」とユノはすぐに席を立った。 テミンがユノの腕をとり、 「ユノヒョン、もう1軒行きましょうよ」と誘った。 その声を聞き、チャンミンはユノの返事を聞く前に 「ソヒョン、送っていくよ」 またその場が凍り付いた。  凍り付いた雰囲気を感じながらも、チャンミンはソヒョンの腕を引っ張り、連れて出た。 「え?え? ユノオッパ、ソンミンオッパ、テミンシ、ありがとうございました。失礼し ます」ソヒョンはチャンミンに引っ張られながらも、振り返り、残された3人に挨拶をし た。 「あー気をつけてなー」とソンミンだけは返事をした。  ソヒョンの腕をとり、何も言わずにズンズンと進むチャンミン。 頭にはテミンの甘えた声が響いている。 …勝手に二人でどこかに行けばいいんだ!!… 「チャンミンオッパ!チャンミンオッパ!!!!!あそこにマネージャーが待ってますか ら、大丈夫です」とチャンミンに引っ張られる腕を引いた。 「あ!ごめんソヒョン、強く引っ張って…」 「いえ、大丈夫です。そんな事よりチャンミンオッパ…ユノオッパがずっと怖い顔して睨 んでましたけど…あの… 私何かいけない事してしまったんでしょうか??」  ソヒョンは泣きそうな顔でチャンミンに聞いた。 「ソヒョン、大丈夫!ユノヒョンはソヒョンには怒ってないよ。見てなかったけど、怒っ てたんなら、僕にだろ」 「喧嘩でもしたんですか?」 「…喧嘩 …した覚えはないけど…これからするのかな…」下を向いて、悲しく笑った。 「ユノ、チャンミナってソヒョンの事好きだったっけ???いや〜びっくりしたね〜 〜今日は。ほんとびっくりだよ! あのチャンミンがあんな大胆な行動するなんてなぁ〜。しかも俺らがいる前で」大袈裟に 驚いたように、ソンミンは叫んだ。 「ユノヒョンは知ってたんですか?」テミンも驚いたように聞いた。 「…  しらない  …」 ユノの沈んだ声に驚いた二人は 「おい、おい、ユノ…お年頃なんだから、好きな人出来たからってそんなに怒らなくたっ て」 「え??あ… 怒ってなんかないさ。そうだよ、好きな人出来たからって不思議なんかじ ゃないさ…」下を向いて、悲しく笑った。