「君の可愛いチャンミンも一緒に…」  あの言葉はいったいどういう意味だったんだろう?  ドキっとして、咄嗟になんて答えたらいいかわからなくて とりあえず、「ありがとうございます。元気になったら連絡します」と答えたら 「そんなに長くはこっちにいられないから、なるべく早く元気になってくれることを祈る よ、次の仕事の事も色々相談しようじゃないか」そう言って、意味ありげな顔してニヤッ と笑ってたけど…あれは絶対だよな…あいつはやばいよ…しかもチャンミナも一緒にだな んて…帰りの車の中、ユノはまだ熱のある頭で必死に考えた。  君の可愛いチャンミン…  って…なんで分かった?  あー頭が痛い。  せっかくステージが大成功で終わってホッとしたっていうのに…  チャミナ家に帰ってるかな… ミノと一緒だったから飯でも食いに言ってるかな 久しぶりに早く帰るのに、チャンミンがいないんじゃ…そんな気持ちになり、ユノはチャ ンミンに電話をかけた。 「もしもし、チャミナ?今どこ? もう家に帰れるんだけど…」 「ヒョン!大丈夫だった?大成功おめでとう!良かったねヒョン、もう帰れるの?じゃぁ 僕もすぐに帰るよ」 「いいのか?ミノと一緒だったんじゃないのか?」 「いいんだよ。もう飯は食べ終わったし。ミノなんだから」 「ハハ… そのいいぐさ…気の毒なミノだな。謝っといて」 「うん、わかった。じゃぁ急いで帰るから」  席をたって電話を受けたチャンミンはミノのいる場所に戻り、 「ミノ悪い、ユノヒョンがもう帰ってくるから、俺も帰るよ。ユノヒョンがミノに謝っと いてってさ」 「あ、そうなんですか?別にいいですけど、チャンミンヒョンやけに嬉しそうですね?な んか妬けるなぁ〜」 「な、何言ってんだよ!バカな事言うなよ!ユノヒョン熱あったから、大丈夫かな?と思 って早く帰ったほうがいいかな…って…」 「…ヒョン、冗談ですよそんな必死に言い訳すると余計に怪しいですよ…まじっすか?」  チャンミンは顔が真っ赤になったのを見られまいと、すぐ立ち上がり、サングラスをか けた。 「帰るぞ!!!」後輩には偉そうなチャンミンだった。 「ただいま」  まだ灯りの灯らない部屋に入り、ユノはソファーにドサッと崩れるよう に座った。  あー良かった。成功してほんとに良かった。  長い間張り詰めていた緊張感が一気に溶けていくのを感じ、ユノは眠くなった。 「チャミナはまだかな…」 「アーダメだ…眠い」ドンドンとユノは夢の中へ引き込まれていく。  ケビンとチャンミンが食事している…嫌そうな顔のチャンミン、いやらしく笑うケビン やめろ!そんな目でチャミナを見るな!気持ちの悪いそんな目で俺のチャミナを見るな! 「ヒョン!ヒョン!」遠くでチャンミンの声がした。  ハッと目が覚めたユノはチャンミンが目の前に立っているのを見て、 「チャミナ!何もされなかったか!?」と叫んで、チャンミンを抱きしめた。 「どうしたの?ヒョン?何もされなかったか?って誰に?何を?」訳が分からず、ユノに 聞き返す。 「…  夢を見てたよ …  夢だよな? チャミナ平気だよな? 」 「???何が?」 「いや、いいんだ。ミノと一緒だったんだよな? それならいいんだ」 チャンミンはユノをギュッと抱きしめ返して、 「そうだよ、ヒョン。ミノと一緒でヒョンが帰ってきたから帰るって言ったら、嬉しそう に帰るんですね。って言われて…フフ…つい顔に出ちゃって…困ったんだよ」  ユノはチャンミンの頭を抱えて撫で…チャミナ…お前を守るにはどうすればいいんだろ… ケビンのいやらしく笑う顔が浮かんでは消えた。 「ヒョン?どうしたの?まだ熱あるみたいだね…体が熱いよ…」 「あーまだ下がってないんだ。当分休んで寝てないと、ほんとにあの怖い先生にぶん殴ら れるよ」 「そうだよ、ヒョン。明日からゆっくり休んでよ」 「そうするよ、チャミナ」  ステージが成功した事での安堵感、やり切った達成感、そして、ケビンの意味不明な不 安な言葉…そんないろんな感情がユノを一杯にして、チャンミンを抱きしめたまま離せな いでいた。  そんなユノに抱かれるがままにじっと身をゆだねるチャンミン…  ヒョン疲れたんだろうな…お疲れ様…ヒョン…チャンミンはユノの背中をさすった。  しばらくそのままでいた二人だったが、チャンミンが 「ヒョン寝た方がいいよ… 熱また上がったら困るし…」 「そうだな、おまえにうつしてもいけないものな…ってもう遅いか?」 ユノはそう言ってようやくチャンミンを離した。 とりあえず、今日はゆっくり寝て、またあいつの事は熱がちゃんと下がってから考えよう。 ユノの熱がようやく下がり、医師の活動再開の許可がおりた日、マネージャーがユノに 「ユノさん、ケビンさんが食事に行こうって、チャンミンさんも一緒に…」  ユノは忘れようとしていた記憶を呼び起こされ、一気にテンションが下がった。 「あいつ…忘れてなかたのか…このままなし崩し的に忘れてくれたらと思ってたのに」 「スタッフも誰か一緒に行く?あの人ちょっとやばいんだけど…」そう嫌な顔で言うユノ にマネージャーが 「はい、スタッフも一緒にと言う事でした」 …取りこし苦労だったのか … 「わかった、じゃぁ行くよ…事務所にとっても必要なラインなんだろ?」 「さぁそこまでは僕にはわかりませんけど、専務からの指示ですからそう言う意味も含ま れているかもしれません」  その日の夜、レッスンを終えて帰ってきたチャンミンに 「チャンミナ〜おかえり…  どうだった?レッスン」ユノは大きく腕を広げて迎えた。 「ヒョン!もう起きてて大丈夫?熱下がった?」久しぶりに元気に起きて迎えてくれたユ ノに驚き、嬉しそうに抱き付いた。 「ああ、明日から活動してもいいってさ」  チャンミンの表情がパッと明るくなった。  嬉しそうにニコッと笑うチャンミンを見て、ユノはたまらず引きよせた。  楽しげに唇を重ねる。 「チャンミナ〜なんか久しぶりだな…」 「…  フフ  そうかな …」 「そうだよ〜チャンミナ 久しぶりじゃないかー俺なんか熱があってもずっと我慢してた んだから」 「ハハハ  …ヒョンそんな事ばっかり考えてるから熱下がらなかったんだよ」 「そうか…そうかもしれない…チャミナにあんな事して、こんな事して…とか考えてたら 一向に熱下がらなかったな   ハハハ」そう言いながら、チャンミンの手を引いて、寝 室へと向かった。 …たっぷりと時間をかけて愛し合い、たまっていた欲情を吐き出した後、ユノはチャンミ ンの髪を撫で、玉のような汗が光るチャンミンの背中にキスをしながら 「なぁ チャンミナ … ケビンって覚えてる?」 チャンミンは驚いて、ユノをはねのけて、体を起こした。 「覚えてるも何も…あの時いやらしい〜目でヒョンを見て、ベタベタ触ってた奴だろ!?」 切れ気味にそう叫ぶチャンミンに 「やっぱり気づいてた?あいつがさ、チャンミナもスタッフも一緒に食事しないか?って 事務所通して言ってきたんだよ。で、マネさんが行けって事は仕事みたいなもんだと思う んだけど…チャミナどうする?  嫌なら俺一人で行くけど…」  行かせたくない、あいつに逢わせたくないという思いでそう言ったが、チャンミンはす ぐには答えずに、しばらく考え込んだ。  また前みたいにあいつがヒョンを気持ち悪い目つきで見たり、ベタベタ触るのを見るの は嫌だけど、でも人数多い方がそんな事しにくいかもしれないし…なるべく離れさせてや る。と考え 「僕も行くよ。仕事なんだから我慢するよ」 「そうか…  行くか…  じゃぁチャンミナ 俺から離れるなよ」 「わかってるよ!ヒョンこそあんな奴の言いなりになんかなるなよ!!!」 お互いがお互いの心配をして、不安になりながらも、スタッフも一緒にだし、飯だけ食っ て帰ればいいよな…そんな軽い気持ちだった。