「嫌だ!!」ユノは強く言って、またチャンミンを抱きしめ直す。 「絶対に嫌だ!離れない!離さない!! 何で急にそんな事言い出すんだよ!チャンミナ! 悪かったよ…テミンの事も…いろんな事、俺が気づかなくて 傷つけた事…謝るよ…だから、チャンミナ…離れるなんて…もう無理だなんて… そんな事言うなよ!チャンミナ… 俺が悪かったよ…これから気をつけるから… そんな事言わないでくれよ…頼むよ!チャンミナ!!」抱きしめる腕でチャンミンの体を揺すり、何度も謝った。 ”…ユノヒョン…  ユノヒョン …  ユノヒョン … ” チャンミンは下げていた腕をユノの背中に回した。 "僕だって…僕だって、ほんとはヒョンと離れたくないに決まってるじゃないか…だけど…” 「でも…  テミンが… 」チャンミンはテミンの電話の声を思いだし、背中に回した手に力を込めた。 「テミンが何て言ったか知らないけど、酔ってしたキスだけだから…あの時はおまえがソヒョンと仲良くして 落ち込んでおかしくなってたんだよ…だから…本気じゃないっていうか…」しどろもどろで言い訳するユノに 「ユノヒョンはまたそんな言い訳するんだな…  本気じゃなきゃいい、とか思ってるんだろ? 僕はあの時、ユノヒョンが僕に嘘ついた事が一番悲しかったんだ…だからその時の事が忘れられなくて… どうしてもまたユノヒョンは嘘ついてるんじゃないか!?って考えちゃうんだよ」チャンミンはユノから少し 体を離しユノの顔を見た。  チャンミンにすがるような目で見つめられ、ユノは 「…悪かったよ…チャンミナ…もうあの時の事は謝る事しかできないから…でも、今はほんとに 誓って何もないんだ。嘘なんかついてない。俺を信用してくれよ」 信じたいと思う気持ちと、信じてまた裏切られたらと思う気持ちが交錯して、チャンミンは 返事が出来なかった。 「…俺よりテミンの言う事を信用するのか?? そんなに俺の事が信用できない??」 ユノの悲痛な質問にも、ただユノを見つめるだけのチャンミン。 「…そうか…  俺はそんなにお前を不安にさせてたんだな… 悪かったよ… チャンミナ… ほんとに悪かった… でも、おまえだって、こんなに俺を不安にさせて…どうしたらいいかわからないくらいに オロオロさせて…  みっともなくさせてるじゃないか…」 悲しそうに、せつなそうに そう囁くユノの体は少し震えていた。  ギュッと抱きしめていた腕をそっと離し、チャンミンが離れて行かないように 片手で腕を掴み、片方の手でチャンミンの頬に触れた。 壊れそうな置物にでも触る様に、そっと、そっと。 「…チャンミナ…  どうすれば、許してくれる?」チャンミンの視線を求めるが、 何と答えていいのか分からずに目を逸らせて、俯いた。 しばらく考え、ゆっくりと頬にあるユノの手に自分の手を重ね 「ヒョン…震えてる…」そう言ってようやく顔をあげ、ユノと視線を絡ませた。 いつもの自信に満ち溢れた目でも、優しさに溢れた笑顔でもない、 母親とはぐれてしまった幼子の様な、不安で、今にも泣きだしてしまいそうな目だった。 「ユノヒョン…」 チャンミンは思わず、もう一方の手でユノの頬に触れた。 ユノはその手を掴み、自分の顔に持っていき、祈る様に絞り出すように 「そばにいてくれよ…  チャンミナ…  俺のそばに… 離れるなんて…  俺をおいていくだなんて… そんな事…言わないでくれよ!…頼むよ…  チャンミナ…」  ユノに掴まれたチャンミンの手に、冷たいものが流れた。 「ヒョン!!!」 チャンミンはいつもユノが自分にするように、ユノの頭を抱え込んで、自分の胸に引き寄せた。 「ヒョンのそばにいる…  そばにいるから…」 「チャンミナ!」チャンミンの胸に顔を埋め、抱きしめ返す。 「チャンミナ…ごめんよ…ごめんよ…」何度も何度もそう繰り返すユノに、チャンミンは 「わかったから、わかったよ。ヒョン…  こんなに体冷たくなって…早くベッドに戻りなよ…」 「チャンミナは?」 「する事したら、すぐに行くから」 そう言われてもまだ不安なユノはチャンミンの後をついて回った。 トイレにまでついてくるユノにチャンミンは 「ヒョン!!今日はとりあえず、どこにも行かないから!!早くベッドに入りなよ!!」 「またそんな意地悪な事言うだろ!?今日だけじゃなくて、ずっと行かないでくれよ!」 情けない表情でユノが言い、チャンミンはようやく笑った。 「わかった!わかった!ちゃんと僕の言う事守ってくれたらね」  いつもの体勢とは全く逆でベッドで抱き合う二人。 チャンミンの胸に抱かれてユノが眠っている。 ”…ヒョン  やっぱり離れる事なんて出来そうにないよ…  好きだよ… ヒョン ” チャンミンは疲れて眠ってしまったユノのおでこにキスをした。