チャンミンの頭の中でテミンとユノが仲良さそうに寄り添う、さっきの光景から、キス を交わす二人に変わっていった。 ”やめろ!やめろ!やめてくれよ!ユノヒョン!!” ウッ  急に吐き気とめまいに襲われ、チャンミンはフラフラと廊下に座り込んだ。 「大丈夫ですか!!??チャンミンさん!!」近くにいたスタッフが飛んでくる。 「すみません、大丈夫です…」 「真っ青ですよ、チャンミンさん、マネージャーさん呼んできますから待っててください」 スタッフが言い終わらないうちにマネージャーがとんできた。 「チャンミナ!大丈夫か!?」抱き抱えるように寄り添いチャンミンに聞いた。 「マネヒョン、大丈夫です…ユノヒョンは?」 「心配して車で待ってるよ。チャンミナが遅いから見に行くって言うから、俺がとんでき たんだよ」 「すみません。なんか急に気分悪くなって」 マネージャーに抱えらるようにして、車に向かう。 「マネヒョン…ユノヒョンには言わないでください。心配かけるの嫌だから。トイレに 行ってたって事にしてください。お願いします」 「病院行かなくて大丈夫か?」 「ちょうど明日休みだし、ゆっくり寝てれば治ると思います。すみません」  ファンに囲まれた車に乗り込むと、ユノが心配気に 「どうした?チャンミナ」と覗き込む。 「ごめん…ユノヒョンちょっとトイレに行ってたんだ」 「さっきも顔色悪かったし、体調悪いのか?」 「大丈夫!ちょっとお腹痛かっただけ」 「チャンミナー」心配そうにチャンミンの手を握り、顔を覗き込んで見つめるユノはいつ もの優しいユノだった。 ”ほら、いつものユノヒョンだ…テミンの挑発になんか乗ったらダメなんだ…ちゃんとユ ノヒョンを信じなきゃ…” ”でも…酔ってキスしたって…ヒョンあんまり覚えてないって言ってたのに…テミンの奴 ダメだ!間にうけちゃダメだ!!ユノヒョンを信じてる…ヒョンを信じるよ…信じる…」  チャンミンは必死で自分に言い聞かせた。 部屋に入るとすぐにユノがチャンミンの肩を抱き、 「チャンミナ…ほんとに大丈夫なのか?何かあったのか?」 「ユノヒョン…」不安な気持ち、寂しい気持ちを全部吐き出してしまいたかった。 しかし、チャンミンはまたいつもの様にすべてを飲み込んだ。 「大丈夫だよ。疲れがたまってたのかな。明日ゆっくり休めば元気になるよ」 「ほんとか?」ユノはチャンミンの頬を撫でながら、そう聞いた。 「明日はキュヒョンと出かけないのか?」 「キュヒョンはミュージカルの稽古で忙しいんだよ」 ユノの手に自分の手を重ねて、チャンミンは答えた。 「ゆっくり家でレゴでもしておくよ」 「チャンミナ…いつかわからないけど、次の休みは絶対に二人でどこか行こうな。 ごめんよ…チャンミナ…おまえの気持ち考えてやれなくて…」 「ユノヒョン!!」チャンミンは思わず泣きそうになり、ユノに抱きついた。 「うん、ユノヒョン次は絶対だよ。絶対僕と二人だからね」 ギューっと抱きつくチャンミンの髪をユノは優しく撫で続けた。 翌朝早く、登山の用意をしたユノはベッドで眠るチャンミンの頬にキスをして 「チャンドラ、行ってくるよ、ゆっくり休んでおきなよ」小さな声で囁いた。 「ん〜ユノヒョン、いってらっしゃーい」 ユノは迎えの車に乗り込み意気揚々と出かけて行った。  泥のように眠るチャンミンが目覚めたのは陽が高く昇りきった時間だった。 「あーよく寝たなーヒョンはもう頂上ついたかなー」チャンミンはたまにフラッシュバッ クのように、昨日のテミンとユノの光景と自慢気にテミンの言った言葉を思い出したが、 ブンブンと頭を振り 「ヒョンは僕が好き…あれは仕事…テミンのザワごと…僕らは結婚したんだから」と自分 に言い聞かせた。 「ホジュンヒョン、やっぱ山の上の空気は最高ですねー」 「そうだろ〜ユノ、来て良かっただろ!?プライベートまでチャンミンと一緒に過ごして たら、息つまっちまうぜ!仕事の事すっかり忘れて、リフレッシュしなきゃ!」 ユノはホジュンにそう言われるが、チャンミンの 「ヒョンと二人でどこか行けるの楽しみにしてたのに」と言いながら悲しそうに俯く姿を 思い出し、胸が痛み 「ごめんよ…チャンミナ…今度は二人で行こうな…」心の中でチャンミンに詫びた。  チャンミンが居間でレゴを作っていると、携帯のブーブーと鳴る音が響いた 「あれ?僕の携帯は寝室のはずだけど…」音のありかを探し出すと、そこにはユノの携帯 があった。 「ユノヒョン忘れていったんだ…  あーあ、ほんと忘れん坊将軍だな。まぁ、スタッフ さんも一緒だからいいか」 チャンミンはユノの携帯をテーブルの上に置き、レゴの続きに勤しんだ。 レゴが完成に近づいた頃、またユノの携帯が鳴る。 「ユノヒョンはいませんよ」携帯に向かってつぶやくチャンミン。 何度も何度もなる携帯にうんざりして、ユノの携帯を部屋に持っていこうと、持ち上げた 着信 テミン 携帯の画面に流れる文字に 「またか!!またテミン!!!」チャンミンは舌打ちした。