「なぁーチャンミナ、まだちょっと先だけど、今度の休み、山登り行かない?」 ユノの広い胸に抱かれ、髪を撫でられながら心地良い眠りの入口に入りかけていた チャンミンは 「う〜〜ん? …山登り?…  いかない …」 少し間をおいて 「違うとこに一緒に行きたい…」 その後ユノが耳元で言った言葉には答える事が出来ずに、深い眠りに吸い込まれていった 「しまった。忘れ物した!ヒョンちょっと先に行ってて、僕コンビニで買ってくるから」 そう言って広い空港のロビーをチャンミンは走っていった。 「OK!!」軽く手をあげて答え、ユノは搭乗手続きの入口の方に進んでいった。 「ユノヒョン!ユノヒョン!」遠くの方から呼ぶ声が聞こえ、キョロキョロ見渡して声の 主を探すと、ニコニコと嬉しそうに笑い、手を振るテミンがいた。 「やぁーテミン」 小走りで近づき、軽くお辞儀をしてから 「ユノヒョン!こんな所で会えるなんて、今日はラッキーな日だなぁ〜」 そう言って、ユノの手をとった。 「テミン一人?」 「いえ、他のメンバーはまだだから、ここで待ってたんです。そしたらカッコイイ ユノヒョンが見えて」下からユノを上目使いで見上げて、繋いだ手の指を絡めた。 「ユノヒョンも一人ですか?チャンミンヒョンは?」テミンは絡めた指をギュっと自分の 腰の辺まで引き寄せ、ユノに密着した。 「おい、おい、テミン」ユノはテミンを軽くハグして、手を離し、少し距離をとった。 「チャンミンは今、コンビニに行ったんだ。すぐに戻るよ」 「なーんだ、やっぱり一緒だったんですか、がっかりだな。ユノヒョン一人だったら 良かったのに」離れたユノにまた近づいてテミンが言った。 「あのさ、テミン」ユノが真剣な表情でテミンの両肩を掴んだ。 「俺はチャンミナが」ユノがそう言い始めるなりテミンが 「あーあーあーあー」両手で耳を押さえて、ユノの声を遮るように叫んだ。 「飛行機の音がうるさーい」 ユノは呆れたように 「テミン…飛行機の音なんか聞こえないよ」 「そんな話聞きたくありません」テミンは悲しそうに俯いた。 重い空気が流れた時 「ユノヒョン!テミン!」ミノとチャンミンがこちらに向かって歩きながら、声をかけた。 「テミナー!おまえまたユノヒョンにベタベタ引っ付いてんのかよー。遠くからでも すぐわかったよ。こんなとこでそんな事してたら、また写真撮られて、世界中に広がるから やめろよ!すみません。ユノヒョン」 「え!?いや…まぁ… べつにいいんだけど…」ミノが見えてたということは当然 チャンミナも見えてたよな… ユノはそう思い、チャンミンの方を見るがチャンミンは わざと視線を逸らして、ミノの方を見ていた。 ”やば!また怒ってるな…こりゃ…” 「じゃぁ、僕ら先に行きます。失礼します。テミナ行くぞ!ほら!来いよ!」 ミノがそう言って、テミンを引っ張った。 「ユノヒョン!またあの日みたいに楽しみましょうねー」テミンは意味ありげな表情で チラッとチャンミンを見てから、ユノに手を振った。 「へ?」ユノは顔を引きつらせながらも、平静を装い 二人に「あー気をつけて行けよ!」そう声をかけた。 「チャンドラ!!」何も言わずにスタスタと先に進むチャンミンにユノは 後ろから歩み寄り、肩を掴んで引き止めた。 「あのさ、ちゃんと二人の事言おうとしたんだけどさ…」 「あの日、どんな事して楽しんだんだよ!!」掴まれた肩を振りほどき、チャンミンは ギロリとユノを睨んだ。 「え!?」 「ユノヒョン、あの日はボーリングしただけだって言ってたよね?」 「そうだよ…ボーリングしただけだよ」その後ホテルに行こうとしていたとは 言えるはずもなく、しかしテミンは何の事を言っているのだろう?とユノは その前に酔った勢いでキスした事はすっかり忘れて、頭の中で悶々と考えた。 「テミンのあの顔見ただろ!?ボーリングしただけで、あんな顔するはずないじゃないか」 チャンミンは周りに人がいるので、声を押し殺しながら、それでもはっきりと ユノに言葉を叩きつけた。 「いや…でも…ほんとにボーリングしただけで…」ユノは叩きつけられた言葉を胸に 突き刺したまま、必死で考えた。 ”あの日はボーリングして…ホテル行こうとしたけど、チャンミナの事故の知らせがあって、 結局行かなくて…” 「大体なんだよ。手握って、楽しそうに話して、下から見上げられて、鼻の下伸ばして 腰に手回して、髪撫でて、なんであんなに引っ付く必要があるんだよ!キスでもするのかと 思ったよ!」 「あ!!!!」チャンミンの言葉にユノが思わず大きな声で反応する。 「何さ!?」ユノの大きな声にチャンミンは立ち止まり、ユノの方を向いた。 ”あの日…オレ…テミンにキスしたんだった…” チャンミンの視線を感じたまま、ユノの体が固まっていった。